お引越ししました。
砂の上のあなた/白石一文 著
私にとって、初めての白石さんの著作です。
この物語は、読む人よってはかなり危険なキーワードがいくつかあるので以下いくつか記します。
「妊娠 不妊(治療) 流産 不倫 愛人 離婚 裏切り」
これらの言葉に不快感を抱く人は、ご注意くださいませ。
幸せになりたいと思い、生きている人が多いのではないかと思います(そりゃ、私もそうですよ)。
この「幸せ」がこの本では曲者でして。
誰が幸せなのか、誰と幸せなのか、誰のための幸せなのか、などなど。
特に「あの人にとってはこれが幸せなのだ」ということと、その「あの人」本人にしてみたら、ちっともそんなことは幸せではなかったりとか(そう発言している人の陶酔にさえ思える)のが残酷だなと思いました。
複雑な物語でした。
たぶらかし/安田 依央 著
第23回小説すばる新人賞受賞作です。
劇団で役者をしていたマキが、「舞台」を変えて役者として働きだしたことからはじまる物語。
日常生活の中で求められる「役者」の物語やドラマは、決して新しいものではないとは思うのですが、マキ(39歳)という強烈なキャラクターや、その相手役として登場するモンゾウ、そしてすらりと脇を固めるキャラクターがしっかりしていて、とても楽しく読めました。
マキとモンゾウの関係も、あの距離くらいが私はとてもツボで、好きでした。
エピソードもたくさん入っていて、読みごたえも抜群です。
安田さんの次回作も是非読みたいと思いました!
「2011年本屋大賞」ノミネート作品
・「悪の教典」貴志祐介
→ 既読
・「錨を上げよ」百田尚樹
→「永遠の0」と「ボックス!」など読んだことがあります。
・「神様のカルテ2」夏川草介
→1は読みました。映画化されます。
・ 「キケン」有川浩
→既読
・ 「叫びと祈り」梓崎優
→たまたま借りた短編集の中に、この作者さんの作品がありました。
「シューマンの指」奥泉光
→未読
・「ストーリー・セラー」有川浩
→既読
・ 「謎解きはディナーのあとで」東川篤哉
→既読
・ 「ふがいない僕は空を見た」窪美澄
→未読
・「ペンギン・ハイウェイ」森見登美彦
→「新釈 走れメロス 他四篇」を読みました。
森見さんといい、貴志さんといい、そういえば私の中はお二人の名前を思うとき、そこに中島敦の「山月記」が浮かぶのでした。
謎解きはディナーのあとで /東川 篤哉 著
こちらも「本屋大賞」ノミネート作品です。
私の周りにいる二名の善き人から「好きそうな本があるよ」と勧められて(笑)、読みました。
好きそうポイント その1 →ライトミステリー
好きそうポイント その2 →お嬢様と執事(笑)
そういった認識なんだなぁ…と思いつつ、それは決して外れていないので(笑)、わくわくしながら読みました。
と、さっきから、読みましたの連呼ですが。
まず、出版されたのは2010年ですが、書かれたのは少し前のようで(連作なので、それぞれ時期は違いますが)、一冊の本を出すのも本当に大変なことなんだなぁ…と思いました。
内容については、好きそうポイントその1&2は当てはまっているのですが、なんというか、ライトとはいえあまりミステリーを期待して読むのは違ったんだなと思いました。
以下ネタバレ
小道具として、ベビーカーが出できたのですが、その耐荷重っていうんですか、何キロくらいまでならOKっていうのを考えてしまいました。
まぁ、一度なら大丈夫なのかな。
悪の教典(上)(下)/貴志 祐介著
貴志さんの話題作。
「2011年本屋大賞」ノミネート作品。
上下巻にわかれていて、それぞれが分厚いです。
でも、とても読みやすい文章で、内容は決して読みやすいものでないのに、それでもするする読めました。
物語の舞台は高校です。
主人公は、高校の英語教師の蓮見。
彼は、サイコパスなのでした……。
サイコパスなのでした、と書きましたが、私自身それがそういう意味を持つのかはよくわからないので、改めてWikipediaなどで調べました。
それを読むと、物語の中での蓮見の行動が、そういうことなのかなぁ…とは思うのですが。
つまり何が言いたいかというと、読者である私には感情があり、けれど物語の主人公は感情の動きや揺れがなく、私たちがする善悪の判断とは違ったジャッジをするわけですから、寄り添えないのです。
これは物語なので、出来事を追っていく、話の顛末はどうなるのか、という読み方ができますが…。
私はこの本を読んだあと、蓮見は外科医になればよかったんじゃないかって思いました。
物語の中で、蓮見は自分の王国を築くために障害になるものを自分が出来る手段の全ての中から選択していきます。
(だから、排除のため殺人さえする)
外科医になって、出来る手段の全てから治療を施すというほうが、周りにとってはいいです。
でも、そうだと物語にならないか。
永遠の0/百田 尚樹 著
姉と弟が、戦争で亡くなった自分たちの祖父について祖父を知る人に会い話を聞くうちに、自分たちの生き方を見出す「物語」です。
祖父が、特攻で亡くなったため、この物語も戦争の話であり、登場人物がその時代をどう受け止め生きたかといった内容が書かれています。
とはいえ、太平洋戦争は実際にあった戦争で、出来事も実際にあったことが書かれ、それに沿うように祖父や他の人物の生き方が描かれているので、読む人によっては受け入れががたい表現もあるのではないかと思いました。
「物語」とはいえ、上に立つ人たちの思惑や名誉により、そういったものとは無縁に生きてきた人々の命が犠牲になる表現には、涙が出ます。
何を大事にして生きていくか。
それを問われる気がしました。




